Investment Nuggets -3ページ目

堀江貴文のFACTA特別寄稿を読んだ

 月刊FACTA3月号の『獄中のホリエモン 「オリンパス」に憤る を読んだ。堀江貴文氏が寄稿した内容はほぼ納得がいく内容で東証の判断、マスコミの対応ともにおかしなもの・・・それがオリンパス粉飾事件の帰結だ。

 堀江氏が言うように、オリンパスが上場廃止にすべきというよりは、ライブドアは一発上場廃止にすべきではなかったというのが正しいのかもしれない。オリンパスが特設市場にいて、執行猶予だろうと何だろうと、オリンパスはすでに猶予がとけるように準備を始めているか、どこかの傘下に入る準備を水面下で進めていることであろう。


 新興市場の一部に不良企業がいることは事実だとしても、ライブドアが即退場でオリンパスが上場維持は意味不明。今の東証が悪いのではなく、当時の東証や当局が悪いのはわかる。ライブドア事件当時の当局と東証責任者の弁明を聞きたいものだ。


 詳細は月刊FACTAに譲るが、株式市場の足を引っ張るようなことはもうやめてほしい。

予想どおり東証が理解しがたいオリンパス上場維持

 予想どおりだったが、東証がオリンパスを上場維持決定。東証がまたも過ちを犯してしまった。本当の間違いはライブドアの上場廃止決定であるのだが、ライブドアを基準にした場合、東証が今回も過ちを犯したことは明らかだ。


 1月21日の日経新聞に上場維持の判断基準が5つ載っていた。


①決算訂正すると上場廃止基準に抵触するか・・・なし・・・決算訂正後も債務超過ではない

 →まぁ、そのとおり。ライブドアもだが。

②赤字を黒字にみせかけていないか・・・なし・・・決算訂正後も赤字ではない

 →上場企業は赤字企業ばかりで赤字と黒字で判断すべきではなく、金額で判断すべき。

   極論、1000万円の利益の会社が2000万円粉飾すると上場廃止なのかと問いたい。

③虚偽の決算書を使って資金調達をしていないか・・・なし・・・公募増資は実施せず

 →そもそも経営トップが意図的に粉飾しているのだから公募増資なんかするわけがない。公募増資で証券会社の審査なんか受けたいわけがない。論外の基準。

④本業の収益を偽ってないか・・・なし・・・売上高や営業利益には影響がなかった。

 →これだけの飛ばしが許されるとでもいうのか。

⑤不正は「組織ぐるみ」だったか・・・なし・・・組織関与はあったが全社的ではない。

 →これが一番ひどい。歴代役員の引き継ぎ事項になったり、トップが主導していて組織的でないという論理がとおるのか。


①~⑤を検証すると、私に言わせると完全にアウト。もう日本市場が悲しくなる。出来高がなくなっても仕方がないと思う。意図的に粉飾した会社が上場維持、会計上書き方を間違えたライブドアは上場廃止。


いろいろな圧力や背景を考えると東証にも同情しますけどね。


昨年のMBOによる上場廃止が20社で過去最高とか

 昨年のMBOによる上場廃止が20社で過去最高とかいうことで 、いつものように憤慨しております(数え方によっては21社とも )。株価が下がれば下がるほど、キャッシュがある会社がMBOしたくなるのはわかります。だからってMBOによる上場廃止を選択する経営者を許したくないですね。


 ここからはタイトルと離れて(よくあります)ホリプロを題材に・・・。


 今年最後のMBO発表はホリプロだったようですが、以前にも良記事が多いと言及したことのあるYUCASEE MEDIAさんがまたも良い記事を書かれてました。「芸能プロにとって上場はゴール 」だとか。たしかに納得の分析・取材です。吉本興業のMBOはひどかったし、ここ数年の子会社上場と子会社非上場化、自らの非上場化は目を覆うものでした。YUCASEEさんによると、芸能プロは上場の意味がないとのこと。確かに吉本興業もホリプロも名前を知らない人はいない。一方でジャニーズなんかを除くと一般的に芸能プロは全く知名度がない。上場維持してもこれ以上知名度の上がらない吉本やホリプロはMBOして当たり前ということか。


 企業が上場を選択する理由のひとつには「知名度向上」があります。実際に多かれ少なかれ知名度は向上します。費用対効果や「その会社って上場してたんだ~」という意見は忘れてください。しかし、ホリプロさんが「知名度向上」という目的は十分果たしたから上場廃止を選んだとしたら、株式市場を愚弄した行為だと思います。経営者達は弁護士助言も手伝って、会社法に則った適法な手続きと考えているんでしょうが、その考え自体がまずいですよね。少なくともMBOを選択した経営者は絶対にホリエモンを批判してはならいないことになりますから。ホリエモンは有罪確定と反論されるかもしれませんが・・・この話をすると長くなりますのでやめときます。


 YUCASEEさんによると、他の芸能プロも上場廃止を検討している可能性はあるのではないかとのことです。個人投資家の皆様、MBOをすると一般的には時価より高い価格でのTOBが起こるわけです。芸能プロ関係の安いところは買いのようです。是非、買っていきましょう。買えば買うほど、MBOのコストもかかりますからね。


 具体的には・・・


アミューズ(4301)  時価総額 91億円

エイベックス・グループHD(7860) 440億円


 だということです。MBO目的の買いならこの銘柄みたいです。なにかと暴排条例も気になる時期にホリプロがMBOできたわけですし、両社もやろうと思えば資金はつくのではないかと思います。久々の買い推奨的な記事になりましたが、今回は当たる自信はそれほどないですね。

年初のフジマキの法則

 年初の日経ヴェリタスの「フジマキの法則」の「外貨投資、今年こそは実を結ぶ」に噴飯的反応をしました。藤巻氏の一貫した主張には敬服します。数ヵ月毎に言うことが変わるミスターよりはいいと思います。

 しかし、昨年3月のこの本 では(私は読んではないですので、間違ってなきゃいいですが)、1ドル=200円台なんて話もあったとかなかったとか

 さらに、蒸し返しで怒られそうですが、リーマンショック前の『マネーはこう動く―知識ゼロでわかる実践・経済学 』では長期金利で円借金をして不動産を購入 のような記載。借金して土地・・・その後・・・。


 同氏のポジションが今でもそうなのはわかりますが、ただの希望であってエコノミストでもなければ伝説のディーラーはただの都市伝説の範疇ですね。少なくとも借金をして土地を買えってのは個人向けの本では書いてはいけない気が・・・。そして、借金して買った人が今から同氏の主張を聞くとは思えないですね。


 私は評論家やエコノミストは多様な意見を提言する必要があり、それが警鐘となり危機回避に繋がる作用が存在すると考えております。この数年これだけ外し続けた同氏ですから、ちょっと相場が反発すると当たりました的な発想もあるんでしょうが、「今年こそは」ってのはどうかな。


 相場の反転のパワーはあるのかもしれませんが、「今年こそは」ではなく反転してからでいいんじゃないでしょうか。ディーラーなら流れに乗るのが大事なんじゃないのかなって思います。

最近野村HDの噂が多い件

 ネットや経済紙で野村HDについての噂や経済紙による記事がやたら目につきます。そんなに深刻なのか。副島隆彦氏の発言 がどうとか、最近いい仕事がやたら目立つFACTAには資本注入説FT でも資産売却説、月刊BOSSでは「野村證券ヘトヘト」特集2chまとめサイト でも「破綻寸前」と。
 噂はまとめると、三菱UFJ傘下が硬いのかという雰囲気を感じてしまう。


 例によって大新聞は基本沈黙。まずは大新聞はこれだけ話題のネタについて報道してほしい。

オリンパスは絶対に上場廃止すべき

 日興コーディアルも上場廃止すべきだったと思っているが、それ以上にオリンパスはもっと上場廃止に値する。そんな中、最近いい記事が増えている現代ビジネスがオリンパスの上場廃止論議に一石を投じる勇気ある記事 を投じている。大手新聞が大手新聞らしい社説や論調に終っているのとは大きく違う。amebaなうを中心に、そして日経を購読しているだけに日経を中心に批判をしているが、大手新聞は自分のこの問題に対する当初のスタンスを改めた上ですべてを論じて欲しい。


 改めて。オリンパスは上場廃止とすべき。粉飾は関係者が認めている。期間も長期、そして巨額、そしてFACTAに指摘されても無視、天下り報道も無視、問題化しても開き直り、未だにウッドフォード恨み節、何をとっても救いようがない。そんな救いようがない面々を救おうとする当局やマスコミ報道。こんなのいいの?


 どうしても、どうしても、比較したいのはライブドア粉飾事件だ。ライブドアはわずか50億ですぐに上場廃止。ましてや有罪で、無罪主張の社長は服役中。じゃ、20倍以上の額で3人もの社長が歴代粉飾を容認しているオリンパスが「影響が重大である」に該当しないしたら何が「重要」なのか。


MBO賛成派の方々

 12月6日に大阪でMBOのフォーラムが行われるらしい 。6月に行われた東京のフォーラム の大阪版なんでしょうかね。締切は11月25日らしいので行きたい方はお早めに。

 ということで、おもいっきり行きます。なぜ日経はそんなにMBOをすすめるのか?これはよくわかりませんが、なんでもいいからやりたかったか、関係者にすすめられたか、本当にいいことだと思っているか、中立かというところでしょう。新聞だけに中立と言いたいのでしょうが、新聞が中立なんていうのは子供くらいしか信じないと言いたいところですが、今の世の中ではインターネットで新聞が嘘ばかり書くとかなり書かれているだけに、子供すら信じないでしょうか?

 

 ただ、正々堂々とMBOの正当性をおおやけで表明する場をつくったことにはある程度の意義深さを感じるわけです。もっともすばらしいのは、理解に苦しむCCCのMBOが一番最初に来ていること。おそらく、たいしたことは言わないでしょうが。それでも、世間を嫌うからMBOしたとも思えるのに、それにもかかわらずこんなセミナーで弁解をするというのはとてもいいことです。参加費無料だけに怒ったCCC元株主が参加することを承知して登壇するCCCのCEOはすばらしいと思います。政治家みたいな回答だけはやめてほしいですね。


 しかし、プレゼンテーション2のタイトルがMBOを象徴している。「正当なMBOを目指して~トラブルを回避する株式非公開化の理論と実務~」とのことです。「正当なMBO目指して」というのは、裏を返すと不当なMBOが多発していることを意味しており、それをいかに阻止できるかを議論するのでしょうか。登壇する方々が弁護士だけというだけですので、今までの法的に良ければいい的な議論に陥る可能性があるでしょう。「正当」なのか「法的に正当」なのかははっきりさせた方がいいでしょう。


 MBOのすべてが悪いとは言いません。はい、未上場会社にもMBOはあり、それはいいですよ。さらに、上場来高値の時点のMBOはいいですよ(実際には過去も未来もそんな事例は発生しませんが)。しかし、何度も何度も言うようにMBOで上場廃止するような会社は上場するなと言いたいし、上場会社の身勝手なMBOは許せません。ましてや、日本一の経済紙である日経がMBOを支持しているかに思えるフォーラムを開いていいものだろうか。個人投資家を蔑ろにするMBOには絶対に反対だ。それを助長する輩には考えを改めてほしい。

オリンパスは悪いが、大新聞もかなり悪い

 本日のオリンパスの会見を受けて、日経グループが会見で一斉に高山社長を責めたわけだが、日経中心に大新聞には大きな問題があることがわかった。以下、現代ビジネス からの引用。


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経済専門紙としてオリンパス疑惑を比較的詳細に報じている日本経済新聞。ウッドワード氏解任直後からの報道を振り返ると、次のようになる。

 10月14日夕刊。ウッドフォード氏解任を伝える記事の中で、当時会長の菊川が会見で語った「(ウッドフォード氏は)独断専行的な経営判断で組織間の連携を損なった」というコメントを紹介。

 10月15日朝刊。「構造改革の継続カギ」という記事中、「当社の企業風土や日本の文化を経営に生かすことも必要なことが理解できなかったようだ」(菊川氏)など、ウッドフォード氏を批判するオリンパス幹部のコメントを改めて紹介。

 10月17日夕刊。「解任理由食い違い」という記事の中で、海外メディアの記事を転電する形で「過去の企業買収で過大な支出があったと指摘したことが解任の理由」というウッドフォード氏の発言を引用。同時に、オリンパス首脳の主張を再度紹介。

 10月18日朝刊。「会社側、法的措置も検討」という記事を掲載。この中で、オリンパス側がウッドフォード氏による社内情報の外部提供を問題視し、同氏に対して法的措置を含む検討をしていると指摘。

 10月18日夕刊。菊川氏との単独インタビューを掲載し、2008年に英医療機器メーカーを買収した際に払った手数料について「公認会計士や弁護士の第三者意見を得ており適正だ」というコメントを掲載。

---引用終わり---


結局、日経新聞や大新聞はとても鈍感なのに、今日の会見ではやたら日経グループの記者が元気のいいのが目立った。今更感が漂う中で明日の朝刊で日経新聞はどのように報道するのだろうか。


そもそも、日経にはオリンパスからの天下りがいるとされる 。今更ながら、20年も粉飾していれば日本を代表する経済誌である日経の天下りを受け入れて口止めをしたくなるのはすごくわかる。そんな日経グループが高山社長の会見に食ってかかる様子は滑稽でならなかった。


今後、詳細は順次わかるのであろうが、これが上場廃止にならないならどこも上場廃止にならないし、菊川前社長や森副社長がホリエモン以上の実刑にならなければ日本の司法も終わりだろう。

ウッドフォード氏

 オリンパス経営陣は、なぜいまだにウッドフォード氏の代表取締役の解職が妥当だと言えるのだろうか。もはや誰も信じないはずだ。


 どうでもいいが、今更「飛ばし」という言葉に脚光を浴びせる必要はあるまい。

ZAITEN『「TOB」で市場から逃げ出す企業の大罪』について

 ZAITEN2011年12月号が『「TOB」で市場から逃げ出す企業の大罪』がとてもいい仕事をしている。本日発売のZAITENで気持ちがいいくらいの良い記事が書いてあったので是非紹介したい。最近、とても感じるのは日経新聞はたいした記事は書かない、又は真実を書かない、言い換えれば分析もしないし、取材もしないようだ。しかし、他の経済誌や週刊誌はそれなりの仕事をしている。その如実な例が今回のZAITENであり、大新聞のオリンパス報道とFATCAや金融ビジネスとの違いだ。

 今回のZAITENは、私がかねてより再三批判してきたMBOやTOBに群がる輩とMBOを実施して自ら上場廃止を選ぶ経営者を痛烈に批判している。当たり前だ。詳しくは今月号のZAITENを読んで欲しい。今回のTOBの特集は完全に正論であり、ほとんどの記述に同意できるものだった。

 もっとも読み応えがあったのは、あの山口三尊氏がインタビュー(取材)されていたところだ。山口氏の意見は傾聴に値するというよりも、完全に当たり前の考えであり真っ直ぐな正論である。


 特集の最後のページに今度発刊されるというTOB阻止 完全対策マニュアル (ZAITEN Books) という本の広告がくっついていたが、むしろ良質な記事の後の広告だけに完全に私自身が買いたくなってしまった。


 一度でもスクイーズアウトされて憤りを感じた投資家は、今月の記事を読んでみる価値がありそうだ。