日興CGとジェネシステクノロジーはどうか | Investment Nuggets

日興CGとジェネシステクノロジーはどうか

 日興コーディアルグループの不正会計問題では、同社の株価を見る限り完全に上場廃止がないことを織込んでいる模様であるが、一部のマスメディアが追求の手を緩めてないのが救いである。同社の問題は、今後どうなるのだろうか。一般的に最も注目されているのは、上場廃止か否かであるが、その根拠はなんだろうか。


 日経金融新聞2月22日20面スクランブルでは、日興の不正会計は、西武に比べて『金額や期間の点でスケールは小さい』、『カネボウと違い経営陣が自ら公表していない』だとか、「企業に上場を指導している大手証券の不正は厳しく罰するべき」などの論点をあげている(西武ならば「40年以上」、カネボウならば「二千億以上」も)。この議論は正しいかもしれない。しかしながら、今日言いたかったのは次のことだ。


 本日の日経金融新聞にあまりクローズアップされない別の情報が3-4行だけ出ていた。同紙にはもっとこの件を説明してほしかったものだが、それがベル24と同様の取引である。本日の日経金融新聞3面によると、『不正会計の舞台となった日興の投資子会社、日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)ではタワーレコードやジェネシステクノロジーなどの案件でもSPCとEB債を組み合わせて利益を計上していたもよう。』とある。


 タワーレコードは非上場であるが、ジェネシステクノロジーは、昨年日興シティ主幹事で東証2部に上場した会社である。これは、特別利害関係者という位置関係はかなり微妙であるだけでなく、不正会計に利用されているとしたら上場廃止問題にさらなる押しの一手となる材料である。

※ジェネシステクノロジーは、日興CG及び日興プリンシパルの子会社であった


 かなり穿った見方をすれば、不正会計をした日興が子会社であるジェネシステクノロジーに上場前に、恣意的な会計の指導をしていたと考えることは可能であるし、上場時の株価はEB債絡みや単純に日興プリンシパル・インベストメントに利益を与えたいがために高めに設定するように誘導することは可能である。さらに、それを検討したくなる事実として、ジェネシステクノロジーの株価は、上場時の公募・売出価格が2100円だったのに対して、現在はわずか612円である。IPOといえば、初値が高騰し、そこから暴落することはあるが、公募・売出価格から1/3以下になっている銘柄はそれほど多くない。逆説的には、主幹事である日興(シティ)は、高いプライシングをしたことになる。


 日興問題のジェネシステクノロジーやタワーレコードとどれだけ関係があるかは不明だが、株価を見ると、ナゾが多いまま、このまま上場廃止にならないことが想定されそうなだけに気になるところである。